27歳、触れたくて、触れられたくて

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退社後、母に会うために病院に向かった。 嬉しいことに母は話せるようになっていた。 鎮静から醒め、無事に人工呼吸器を離脱することができたのだ。 とは言っても、言葉を出すことはまだしんどそうで意識もぼんやりとしていた。 だが、百々子のことはしっかり認識できていた。 どのみち順調に経過していることには変わりなかった。 隆二によると今朝のCTの結果は問題なかったらしい。 笑顔で報告してくれたので百々子は心底ほっとした。 「百々子……ごめんね」 酸素マスクを覆った母が涙を浮かべながら囁くように言った。 百々子は噛みしめるように首を振った。 「絶対に治るから。 大丈夫。一緒に頑張ろう」 自分自身に言い聞かせるように強く想いを込める。 今はこの言葉が精一杯だった。
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