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退社後、母に会うために病院に向かった。
嬉しいことに母は話せるようになっていた。
鎮静から醒め、無事に人工呼吸器を離脱することができたのだ。
とは言っても、言葉を出すことはまだしんどそうで意識もぼんやりとしていた。
だが、百々子のことはしっかり認識できていた。
どのみち順調に経過していることには変わりなかった。
隆二によると今朝のCTの結果は問題なかったらしい。
笑顔で報告してくれたので百々子は心底ほっとした。
「百々子……ごめんね」
酸素マスクを覆った母が涙を浮かべながら囁くように言った。
百々子は噛みしめるように首を振った。
「絶対に治るから。
大丈夫。一緒に頑張ろう」
自分自身に言い聞かせるように強く想いを込める。
今はこの言葉が精一杯だった。
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