27歳、触れたくて、触れられたくて

彼が作ってくれたチャーハンは今まで口にしたチャーハンの中で一番美味しかった。

だから素直に気持ちを伝えると、彼は「残り物で作ったから適当だよ」と少し照れ臭そうに頭を掻いた。

口調はぶっきらぼうだけど、どこか優しい。

ああ、透が帰ってきたんだ、とようやく実感が湧いてきて、幸せな気持ちになった。

夕食の後、疲れた身体を癒すようにお風呂に入った。

透はとっくに済ませたらしく、ゆっくり入って来いという言葉に甘えて、たっぷりお湯に浸かって浴室を出た。

パジャマに着替え、リビングに戻ると透はソファで本を読みながらくつろいでいる。

切り出すなら今だと思った。

母が入院に至った経緯と現状について口を切ろうとしたその時、

「あのさ」

本を閉じ、こちらに目を向けた透と言葉が重なった。