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「はい……」
気持ちを共有してくれる人がいる、それだけでこんなにも心強くいられる。
「……彼には、ちゃんと頼ることができてる?」
先ほどとは打って変わって、陽一を纏う空気が変わったような気がした。
「……はい。
相変わらず仕事が忙しそうですけど、それでも力になってくれています」
言っておきながら決まりが悪くなって、それとなく視線を逸らす。
一体、どれほど自分をごまかせば気が済むのだろう。
「……」
百々子は持っていたファイルのページを捲り、陽一にわかるように見せた。
「探されていた企画書、見つかりました。
そろそろオフィスに戻りましょうか」
微笑む百々子に黙り込んでいた陽一が噛みしめるように口を開いた。
「……彼よりもずっと前に僕が君と出会っていたら、今頃君の隣には僕がいれたのかな」
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