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それから二週間が経った。
この二週間はとにかくしんどくて、自分の気持ちを押し殺す選択をした代償は想像以上に重かった。
事あるごとに透のスマホに綾から電話が入るようになり、二人の時間は確実に奪われていったのだ。
スマホ越しから垣間見える彼女は、誰が聞いても理不尽に思うのではないかというほど泣き喚いていて、透もかなり手を焼いているのが見て取れた。
彼女のように、あんな風に素直に泣くことができたら、今頃彼の胸の中には私がいたのかもしれない。
“行かないで”とありのままの気持ちを伝えることができていたら、彼の背中を見送ることにはならなかったのかもしれない。
そう思えば思うほど、取返しのつかない後悔の念に苛まれた。
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