27歳、離れていく距離

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「透くんは元気?」 一般病棟に移ったその日、母が尋ねてきた。 透の話は一切してこなかった。 一方的に避けていた。 しかし、長年一緒にいる恋人の話題が出てこないとなると、さすがに不思議に思ったのだろう。 「……うん、元気だよ」 透にはまだ母の件は話せていない。 もうこれでいいのだと自身を欺く。 「透、仕事が忙しいみたい。 お母さんのことすごく心配してたよ。 面会に伺えなくてすみませんって言ってた」 笑顔で取り繕えば取り繕うほど、心がすり減っていくような気がする。
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