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「ミヤってさ、一見気丈で隙がなさそうで、でもいつ消えてしまってもおかしくないような儚さっていうのかな。
昔から放っておけないところがあったよね……」
優しい人ほど脆いから。
菜穂が続けたその言葉に涙腺が刺激される。
「母親を守れなかった自分が今でも許せないんだと思う。
被害に遭ってる女性を放っておけなかったのもそれが関係しているんじゃないかな。
母親のことは、透の中ではとっくに解決しているのかと思っていたけど……。
きっと俺らには推し量ることのできない未練っていうのかな……心残りがあったのかもしれない」
涼に賛同するように真人も頷いた。
「私、透のことを誰よりも分かっていたつもりでいたけど、何もわかっていなかった。
九年も一緒にいたのに……」
三人はより一層悲しみに満ちた表情をした。
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