真相 -春志編-

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俺のスマートフォン端末には、位置情報が検索出来る機能が備わっている。 失くした時に便利かと軽い気持ちで、デフォルトの設定のままにしていた。 記憶の限りでは、IDのパスワードを設定した際も寧実が隣に居たし、端末を放置して席を外したことも何度だってある。やましいことはなかったからだ。 他の端末からログインすれば最初にメールが送信される筈だが、痕跡を消されていたのかも知れない。 寧実が俺と花澄の前にタイミング良く登場して、疑惑は確固としたものに変貌したが、けしかけても口を割らなかったから、敢えてオフにはしなかったのだ。 逆手に取って見せつければ、何らかの反応を得られるだろうと踏んだ。 もう誰にばれても構わないと、花澄を抱き締めた時『良いんだ』と言った。 いずれ彼女と関係を持つことが、寧実への別離の示唆になるかも知れないとは、考えていた。 しかし、前の女の子は身体を震わせたまま顔を上げない。 「問い詰められる覚悟だったんだけどな……」 寧実から視線を逸らし、息を吐く。 いつものように直ぐに連絡を入れてくるかと読んでいたのに、そこは見当が外れた。 目線の先のオープンラックを虚ろに眺め、唇を噛んだ。
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