後悔という名の代償 Toru Miyase

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そのようにして、仕事は現場管理が中心となり、いつの間にかプログラミングに関われる機会はなくなりつつあった。 でもそれは仕方ないことだと透は処理し、求めれば求められるほど深く仕事にのめり込んでいった。 クライアントからの期待に応えたいという思いもあったけれど、きつい仕事を乗り越えた先には何か大きな力となるものが得られるような気がしたからだ。 大切な人を守れるような強さ――まではいかなくても、その欠片となるものが手に入るのではないかとなぜだかそう信じていた。 けれど何かを得るどころか日に日に大切なものを失っているような気がして、恋人とのすれ違いの生活がこの先もずっと続いていくのかと思うと、果たして本当にこれでよいのか自身の仕事の在り方に疑問を抱くようになっていた。
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