後悔という名の代償 Toru Miyase

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「おい、宮瀬。 聞いてる? おーい、寝ぼけてんの?」 透は声がした方へ視線を流すと、同期の相良(さがら)がレジ袋らしきものを掲げている。 「コンビニで夕飯買ってきた。 食べようぜ」 そうだ。 納期が迫る3日前の今日、チームのみんなと徹夜覚悟でまた残業する羽目になって、 でも連日続く残業にとうとう限界が来て、相良に「ちょっと仮眠とるから三十分きっかりで起こして」って頼んでおいたんだった。 重たい体を起こし、辺りを見回すとオフィスには透と相良しかいなかった。 「他のみんなは?」 「ああ、宮瀬が寝落ちしたあたりでみんなの集中力が切れてさ。 外で食べてくるって出て行ったよ。 今頃吉野家の牛丼でも食べてんじゃない?」 そういうこと。 透はようやく現実を把握することができた。
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