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「常識だよ。
美味しいから食べろよな」
「ああ……サンキュ」
透はそっと受け取った。
「そういえば今日彼女は?
俺、挨拶する気まんまんで来たんだけど。
愛しの百々ちゃんはどこ?」
こいつ、それが狙いで来たのか。
馴れ馴れしく呼ぶなよなんて、
そんなこと言える権限は自分には一切ないので、
透は事実だけを答えた。
「……半年前に別れたんだ」
そう言うと、相良は案の定静かになった。
相当信じられないのかショックで固まっている。
透はふっと悲し気に口元を緩めた。
「……何で。
何で別れたんだよ、だって宮瀬あんなに……」
相良は込み上げてくる感情を堪えるように訴える。
「……いいだろ、もうその話は。
ほら、来いよ」
話を切り上げて廊下を歩き出すと、
相良は腑に落ちない様子でついていった。
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