後悔という名の代償 Toru Miyase‐4

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その日、関東は例年より遅い梅雨入りを迎えた。 雨は朝から降ったり止んだりを繰り返していたが、 夜には水面を叩く雨粒の音はすっかり聞こえなくなった。 出張を終え、珍しく会社に立ち寄らず直帰した透は、 息つく間もなくデスクトップに張り付いていた。 すると、一本の電話が鳴った。 仕事用のスマホだと気づくと、 素早く手に取って通話ボタンを押す。 耳元に懐かしい愉快な声が聞こえてきて、透は頭を抱えた。 状況を理解しようといくつかやりとりを交わしたものの、ぎょっとして立ち上がる。 電話に出た自分を少しだけ叱咤して、急いで家を出た。
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