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それからすぐ、また仕事に追われる生活が続いた。
プロジェクト終了の明確な期限ができたことで、以前よりもさらに忙しくなり、相良と飲んだ出来事がまるで嘘のように薄れつつあった。
そしていつの間にか、あんなに誇りを掲げて成し遂げてきたSEの仕事が、以前ほどの輝きを持つものではなくなっていた。
それでも何かに麻痺されたかのように、ただひだすら目の前の仕事をこなす毎日を続けた。
これと言って欲しいものもなければ、
自分に投資するものもない。
貯金残高は増えるばかりだった。
“宮瀬、どこに向かおうとしてんの?”
半蔵門線の最終電車に乗り込みぐったりと席にもたれかかながら思う。
相良の言う通りだ。
――俺はいったい、どこに向かおうとしているのだろう。
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