後悔という名の代償 Toru Miyase‐5

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「あの……?」 女性は首を傾げながら、おそるおそる窺う。 突然の事態に困惑しているようだった。 「すみません……人違いでした……」 そっと力を緩めると、女性は同情するように軽く頭を下げて、人混みの中へ消えていった。 透は茫然と立ち尽くす。 視界に入る人、モノ、景色、それらすべてがぼんやりと霞んで見える。  何を考えているんだ俺は……。 百々子があざみ野に帰ってきただなんて。 俺のところに、戻ってきてくれただなんて。 そんなありもしないことを一瞬でも、夢見てしまうなんて……。    
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