後悔という名の代償 Toru Miyase‐5

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どうしてだろう。 なぜだか、この日は前触れもなくこの部屋に入ることを突き動かされた。 その理由は分からないけれど、無意識に身体が動いていたのだ。 手前が透のスペース、そしてその向こうが百々子のデスクスペースとなっている。 透はゆっくりと百々子のデスクに近づいた。 温もりを確かめるように、そっと優しく手で触れる。 自分のとは違って、デスクは跡形もなくきれいさっぱり片付いてる。 特に何も考えずに白い椅子を手前に引くと、とあるものに気がついた。 デスクの下に身を潜めるようにして置いてあったのは、段ボールより小さめの収納箱。   不思議に思いつつも、その場に屈んでまじまじと見入る。 少し悩んでから、おそるおそる蓋を開けた瞬間、透は息をのんだ。 お揃いのマグカップや、旅行先で買ったお土産、かつて玄関に飾っていた写真など、二人の思い出の品々が眠るようにしまってあったのだ。
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