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震える指でカードを抜いて中身を広げると、カシミヤのマフラーが姿を現した。
胸がしめつけられるようなたまらない気持ちが込み上げてくる。
ふと視線を下に落とすと、床に無地の封筒が一通、落ちてあるのが見えた。
――手紙?
拾い上げて表を確かめてみるが、宛名や差出人の記載はまったくない。
何かの弾みで落としてしまったのだろうか。
となると、収納箱のふたを開けたときか?
とたんに胸がざわつきだす。
少しの間逡巡した後、透は意を決し、中を開いた瞬間、まるで冷たい電流に貫かれたような衝撃を受けた。
『 透へ。
私の手ではどうしても捨てることはできませんでした。
もしこの箱を見つけたら、そのときは透の手で捨てて下さい。
百々子』
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