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ぽたりと、手紙に水滴が弾いた。
それが涙と気づいた瞬間、とめどなく溢れた。
――どうして。
どうしてもっと、幸せに近づけてあげることができなかったのだろう。
もっと自分の気持ちを伝えてあげたらよかった。
好きだと、俺には百々子しかいないのだと。
もっと二人の時間をつくって、
もっとたくさん話をして、
もっといろんなところにつれていってあげたらよかった。
そしてもっと、抱き締めてあげたらよかった。
様々な後悔がとめどなく押し寄せてきては、それを止めることができなかった。
「ごめん……」
片手で目を覆う隙間から、低く擦れた声が涙と混ざって落ちていく。
「ごめん……百々」
27年間生きて来ておそらく初めて、これほどまでになく泣いた。
涙はいつまでも、いつまでも、絶えずに流れ続けた。
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