後悔という名の代償 Toru Miyase‐5

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3ヵ月後の年の瀬、百々子と別れて一年が経ったその夜、透は生まれ育った地元・横浜市中区山下町を訪れていた。 地元に帰ってきたのは高校を卒業し家を出て以来。 その日は何年かぶりの中学の同窓会で、もちろん初めての出席となる。 場所は山手の一等地で、港の見える丘公園や山手洋館から歩いてすぐの人気スポットにある隠れ家レストランだ。 歴史ある二階建ての白い建物はどこか異国情緒が漂っていて、階段を下るとガーデンテラスになっており、温かみ溢れるアットホームな造りとなっている。 レストランはまるまる貸し切り状態で、懐かしい顔ぶれは次々とグラスを空にしていき、久しぶりの再会がよほど嬉しいのか、すでに何杯もお代わりしてすっかりできあがっている。 一階から楽しそうな笑い声を微笑ましく聞きながら、こっそり輪から抜け出した透は二階のテラスへ出ていた。
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