後悔という名の代償 Toru Miyase‐5

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一階とは違って、二階は恐ろしいくらいしんとしている。 透以外、誰もいない。 バルコニーの手すりに腕をついて寄りかかる。 ライトアップされたテラスは、遠くに広がるベイブリッジの明かりが目立ってとても綺麗だ。 長らく見ていなかった懐かしい景色に、透は胸が切なくなった。 「やっぱり、ここにいた」 背後から届いた声に振り向くと、涼と真人が困ったように優し気な目をして微笑んでいる。 「気づいたらいなくなってたから、もしかしてと思って。 ……少し酔ったか?」 涼は心配そうに眉間に皺を寄せる。 「いや、ちょっと風に当たりたくなってさ。 気持ちいいな、ここ」 ふっと口元をほころばすと、涼と真人は安心したように頬を緩めた。 その表情を目にした瞬間、透の胸に熱いものが込み上げてくる。
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