後悔という名の代償 Toru Miyase‐5

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透の言葉があまりにも予想外だったのか、二人は驚いたように顔を強張らせ、唇をほころばせる。 「みんな待ってるからって、言った通りだったろ? お前から連絡きたとき、めちゃくちゃ嬉しかったし、めちゃくちゃほっとした。 中学の奴らだって、透が帰ってくるのをずっと楽しみにしてたよ」 涼の言う通りだ。 社会人になってから何度か開催された同窓会には一度も参加しなかった透は、次第に連絡を疎かにして繋がりを持つことを放棄した。 地元を離れるとき、ここにはもう二度と帰るまいと、必ずしもそんな強い信念があったわけではない。 でも少なからず、ここは自分の居場所じゃないと離れていったのは事実だ。 それなのに、今日再会するなり中学のクラスメイトは“ミヤ!”と駆け寄ってきて、昔と変わらない笑顔で迎えてくれた。 生まれ育った地元を捨てるようにしてこの街から離れたのに、どうしてみんな、こんなにも無条件に温かくて、底知れぬ優しさに包まれているのだろう。
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