後悔という名の代償 Toru Miyase‐5

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ずっと黙り込んでいた真人が、腹の底から振り絞るように叫んだ。 透は真人に目を移して笑った。 やがて視線を落とし、心に秘めた思いを打ち明けた。 「怖くなったんだ。 家を出て行くことを決めた百々子を引き止めたとしても、子供の頃母親が家を出て行ったように、いつか百々子も離れていくんじゃないかって。 そう思ったら耐えられなくなって、別れを受け入れた」 いつか離れてしまうのなら、すべてを終わらせよう、と。 もうあんな思いはしたくない、と。 だけど本当はとっくに気づいていた。 百々子が家を出て行ったあの日から。 何が間違っていたのか、 自分は誰を想い、どこに向かいたいのか。 しかしそれらを認めようとせず、自分自身を欺き、損ないつづけてきた。 百々子と真正面から向き合うことを恐れて、ただ逃げていただけだった。
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