後悔という名の代償 Toru Miyase‐5

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透は自分自身を厳しく戒めるように、唇を震わせた。 「ずっと強くなければいけないと思っていた。 本当はどうしようもないくらいカッコ悪くて、 情けないくらい弱いくせに、ずっと強いふりをしていた。 百々子に弱い自分を見せるのが怖かったんだ」 涼はぐっと何かを堪えるように苦笑して、言葉を紡いだ。 「バカだな。 お前がカッコ悪くて、弱いなんてこと、みんな分かってるよ。 月岡は見せて欲しかったと思うよ。 お前の弱さも、その情けなさも、かっこ悪さもぜんぶ。 きっと丸ごと受け止めてくれたよ」 「ああ……そうだな」 してやれなれなかった後悔だらけだ。 どうしようもないくらい愚かだった。
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