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透はひとつ息を吐いてから、吹っ切れたような笑みを浮かべた。
「俺、年内で会社辞めることにしたんだ」
唐突な告白に涼と真人が唖然として顔を上げた。
そんな二人を横目に、透はかすかに苦笑した。
「本当に自分のやりたかったことをもう一度見つめ直したい。
これから先のことはまだ何も決まっていないし、
どうなるかわからないけど、一から自分の手でやっていこうと思う」
変わりたい。
もう二度と、同じ過ちを繰り返さないように。
そして誓う。
大切な人を傷つけ、自分自身を欺き、際限なく損ない続けるような生き方は、もう絶対にしないと。
今度こそ、なりたいと思う。
いつか、胸を張って彼女に会いに行けるような大人に――。
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