最終章:二人のたどり着く場所-2

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「お帰り。遅かったわね」   寝ていると思っていた母親の声が背後から突然聞こえて、百々子の肩がびくっと跳ねた。 「お母さん、寝てたんじゃ……」 「物音が聞こえてきたから、帰って来たんだろうと思って、下りてきちゃった。 送別会、どうだった?」 「うん、楽しかったよ」 「そう。よかったわね」 そう言いながら、母親は隣に腰掛ける。 二年前にクモ膜下出血を発症し、退院して以来、病気が再発することも、ほかの大きな病気を患うこともなく、元気な毎日を送っている。 そのことは救いの一つだった。 「大丈夫? 最近、元気ないわね」 「え?」 突然そう言われて、思わず間抜けな声をあげてしまう。
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