197人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「お帰り。遅かったわね」
寝ていると思っていた母親の声が背後から突然聞こえて、百々子の肩がびくっと跳ねた。
「お母さん、寝てたんじゃ……」
「物音が聞こえてきたから、帰って来たんだろうと思って、下りてきちゃった。
送別会、どうだった?」
「うん、楽しかったよ」
「そう。よかったわね」
そう言いながら、母親は隣に腰掛ける。
二年前にクモ膜下出血を発症し、退院して以来、病気が再発することも、ほかの大きな病気を患うこともなく、元気な毎日を送っている。
そのことは救いの一つだった。
「大丈夫?
最近、元気ないわね」
「え?」
突然そう言われて、思わず間抜けな声をあげてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!