最終章:二人のたどり着く場所-2

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試写会は大盛況のうちに幕を閉じ、会場では撤収作業が始まっていた。 場内に残っているのは、関係者やスタッフのみだった。 百々子が黙々と段ボールに備品を詰めていると、 「お疲れさん」 陽一に声をかけられた。 「お疲れ様です」 百々子は立ち上がり、軽く頭を下げて笑みをこぼす。 陽一は爽やかな笑顔を見せた。 「よかったね。 無事に終わって」 「はい」 「準備段階から伝わってきたよ。 絶対にいいものしてやるんだっていう君の熱意がね」 不意を突くような突然の指摘に、心臓が大きく波打つ。 「月岡さん、いつも以上に入れ込んでたよ。 もしかして気づいてなかった?」 いたずらっぽく陽一がたずねる。 自分ではそんなつもりはなかったが、陽一にはそう見えていたらしい。 胸の奥が熱くなるような、核心をつかれて冷えるような、落ち着かない感じがした。 「普段も一生懸命だけど、どうして今回だけ、特に熱が入ったんだろうね?」 陽一は〝聞くまでもないけど〟といった様子で、小さく口角を上げる。 「ねぇ、月岡さん。 いつだって真っすぐで、簡単に折れたりしないし、あきらめない。 何があっても自分の足で走っていく、それが月岡さんだよね?」 その問いかけに、何も答えることができなかった。
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