197人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
高校卒業まで残り四カ月を切った。
クラスメートの中には、ちらほらと就職の内定が決まっている者もいたが、過半数は大学や専門学校への進学を希望しており、もちろん百々子も大学を受験するつもりでいた。
本当は私立の学校を第一志望にあげていたが、私立は国立に比べて金銭面の負担が大きい。
その分母親に負担をかけてしまうことになる。
それに、万が一落ちてしまって、浪人するような余裕もない。
そう思って別の道も視野に入れ始めたとき、母親が釘を刺してきた。
「私のせいにして受験から逃げるんじゃないわよ。
お金のことなら、娘に心配されるほど落ちぶれていないからね。
そんなこと気にする暇があるなら、勉強しなさい」
母親は百々子のことを最優先に考えてくれた。
離婚後も月岡の姓を変えなかったのも、自分の世間体どうこうではなく、百々子のためだった。
そんな母親の想いに応えるように、第一志望の学校をめざし、勉強に励んだ。
最初のコメントを投稿しよう!