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赤レンガ倉庫を出て、二人がよこはまコスモワールドについた頃には日は沈み、辺りはすっかり暗くになっていた。
気が済むまでアトラクションを乗りつくし、ゲームに熱中していると、閉園時間まで残り三十分が差し迫っていた。
楽しい時間ほどあっという間に終わっていく。
「みんな帰って行くな」
透が名残惜しそうに呟く。
段々と人が分散していく園内を眺めながら、まだ帰りたくないと、百々子は強く思った。
目の前には、七色に輝くコスモクロック観覧車が夜のみなとみらいを美しく照らしている。
名残惜しそうに見つめていると、
「最後に観覧車に乗ろう」
心情を察したかのように、透が優しく言った。
閉園時間ギリギリということもあって、観覧車にはすぐ乗ることができた。
二人は向かい合うように座ったものの、互いに言葉は発さない。
寂しさが募るばかりで、何を話したらいいのかわからなかった。
ゴンドラのガラス越しに広がる景色をただ無言で見つめていた。
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