198人が本棚に入れています
本棚に追加
15分後には、夢のような時間が終わってしまう――。
このまま時間が止まってしまえばいいのに……。
叶うはずもないのに、そう強く願った。
「……明日、クリスマスイブだね」
まもなくゴンドラが最高点に到達しようというとき、百々子はようやく口を開いた。
「……あの子と会うの?」
脳裏に、恥ずかしそうにはにかんでいた女の子の姿が蘇る。
透はその言葉の意図をすぐに理解したのだろう。
少しムスッとした表情で、不機嫌そうに答えた。
「会うわけねぇだろ。
はっきり断ったし」
「……どうして?」
そう尋ねておきながら、心の底ではほっとしていた。
すると透は、歯切れ悪く答えた。
最初のコメントを投稿しよう!