最終章② 18歳、冬

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十二月になり、センター試験まで残すところあと一カ月になっても、透との関係は相変わらずだった。 これまでと同じようにふざけ合い、言い合い、笑い合う。 今の関係を言い表すのなら、〝友達以上恋人未満〟という言葉が、一番しっくりくるだろう。 単なる自惚れかもしれないが、自分がほかの女子よりも、少し特別な位置にいるのではないかと密かに思っていたし、 菜穂からは「早く告白しないと他の女子に持っていかれちゃうよ」とことあるごとに警告されていた。 しかしそれでもなかなか決心がつかずにいた。 ――だって。 告白してフラれてしまったら、二度と元の関係に戻ることはできない。 ぎくしゃくするどころか、下手をしたら名前すら呼んでもらえなくなるかもしれない。 これまでのように、言葉を交わしたり、笑い合ったりすることもなくなってしまうかもしれない。 それなら友達のままでいい。 そばにいられるなら、それだけでいい、と。
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