最終章③ 二人のたどりつく場所

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「もう一度この場所から始めたい。 二人であざみ野の家に帰って、一緒に幸せを作っていこう」 透は言葉を切ると、息を大きく吸い込んだ。 「俺の家族になって下さい」 目に涙を滲ませながら、百々子は大きく頷いた。 「うん。私も透を幸せにする。 絶対、幸せにする!」 溢れんばかりの笑顔で宣言すると、透の首に腕を回して抱きついた。 「うん。百々、顔を見せて」 耳元をくすぐる透の声に、百々子は首を振った。 「ダメ……。透の顔を見たら、涙が止まんなくなっちゃう」 「いいよ。 泣きたくなったら俺の胸に飛び込んできて。 そのたびに俺は百々を抱きしめるから」 透の首に回した腕の力を緩めると、そっと透の顔を見上げた。 二人の視線が、再び絡み合う。 そこには、大好きな彼の笑顔があった。 まもなくゴンドラが最高点に到達しようとしたとき、透が顔を傾けて、近づいてくる。 百々子はゆっくりと、目を閉じた。 あの日結ばれたこの場所で、二人は永遠の愛を誓い合うようにキスを交わした。 fin.
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