最終章③ 二人のたどりつく場所

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観覧車に背を向け、走り出そうとしたときだった。 視界を捉えた人物に、呼吸が止まりそうになった。 すこし遠く離れた場所に、前触れもなく現れたのは、愛おしくてたまらない人――それはまさしく透だった。 透は百々子を真っすぐに見つめたまま、息を切らせながら、 「やっと、見つけた……」と、両ひざに手をついて息継ぎしている。 首元には、カシミヤのマフラーが巻かれている。 それは二年前、最後の最後まで渡すことのできなかった、透への誕生日プレゼントだ。 別れを決意して片づけをしていたとき、持っていくことも、かといって捨てることもできず、想いを封印するように押し入れの奥にそっとしまいこんでいったものだった。 透はそれを見つけ出してくれたのだろう。 そして、ずっと大事に持っていてくれたに違いない。 「どうして……」 潤んだ瞳で、百々子が声を振り絞るように尋ねると、 透は肩で息をしながら真剣な眼差しで言葉を紡いだ。
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