最終章③ 二人のたどりつく場所

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百々子はぎゅっと目を閉じて、頭を振った。 「私こそ、透の弱さを受け止めてあげられなくてごめん。 透の苦しみに気づいてあげられなくてごめん。 一人にしてごめんね」 「違う。百々は何も悪くない。 俺が弱かったのがいけなかったんだ。 社会人になってからの俺は、力をつけることに必死だった。 社会的な地位を築くことが、大切な人を守る力になるんだと本気で思い込んでいた。 自分のことばかりで、百々の気持ちをないがしろにしてばかりだった」 その言葉を否定するようにまた頭を振る。 はらはらと涙の粒が空中に舞った。 透は目を伏せ、自分の愚かさを責めるように続けた。 「俺は弱いくせに、強いふりをしていた。 自分の弱さを見せることが怖かったんだ。 母親のように、いつか百々が俺から離れていってしまうんじゃないかって。 俺といても百々は幸せになれないんじゃないかって、ずっと恐れていた」 「バカ。私の幸せを勝手に決めつけないでよ。 私の幸せは私が決める。 私は透がそばにいてくれたらいいんだよ。 それだけで幸せなんだよ」
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