最終章③ 二人のたどりつく場所

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百々子は身体の芯から声を上げるように訴え続ける。 「透のこと、何度も忘れようとした。 でも、ダメだった。忘れられなかった。 どこにいても、どこに向かっても、透の顔が一番に頭に思い浮かぶの。 透じゃなきゃダメなの。 透の隣じゃないと幸せになれないよ」 「百々……」 透は足を踏み出し、距離を縮めていくと、力強く百々子を抱きしめた。 百々子もぎゅっと強く、透の温もりを受け止める。 「百々がいなくなって死ぬほど後悔した。 失ってやっと気づいたんだ。 百々がいない未来なんて考えられない。 俺が百々じゃないとダメなんだ」 耳元で放たれた透の想いが、二年ぶりに感じる彼の匂いが、百々子の胸を熱くする。 百々子は透の腕の中で、涙を噛みしめながら微笑みを返した。 「弱い自分を見せるのが怖いって言ったよね。 弱くていいんだよ。 一人で抱え込まなくていい。 透が背負う荷物は私も一緒に背負うよ。 だから、これからはその荷物を私にも分けてほしい」
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