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喜びも痛みも二人で分け合って、共に生きていきたい――。
透は抱きしめる力を緩めると、百々子と視線を絡めて、小さく微笑みながら頷いた。
「好きだ。百々が好きだ。
もう二度と離さない」
「うん。ずっと離さないでいて。
私も透を離さないから!」
百々子が元気いっぱいにそう言うと、透は再び百々子を腕の中に引き寄せた。
そして、もう一度耳元で「好きだ」と囁くと、
百々子を力いっぱい包み込むように抱きしめた。
百々子たちの背後を、観光客が歩いてく気配がする。
「いいの? みんな見てるよ」
恥ずかしそうに尋ねる百々子に、透は優しく微笑んだ。
「いいよ。今はただ抱きしめていたい」
その言葉に、百々子も微笑んで頷く。
場所も時間も忘れて、二人は抱きしめ合った。
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