4:偏見と牽制

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 ふと父がそんなことを漏らす。 「真己くんと一緒にする食事はおいしかったなぁ」 「……うん」  不意に胸がつまった。  そうだ。もう二度と真己と一緒にご飯を食べることは出来ないんだ。  再会してからも度々家に招いていたが、この交流は小学五年生の頃からあった。その時期は真己の両親が離婚をした時でもある。  離婚の原因は、噂ばかりが先立って本当のところはわからないが、そもそも他人の家庭の事情なんて詮索するものではない。事実は、離婚によっておばさんが夜働くことになり、真己は夕飯を一人ぼっちで食べなくてはならなくなったということだ。  真己はだんだんと元気のない日が多くなった。口数が少なくなったと感じるのも気のせいではない。  何とか真己に喜んでもらおうと両親に相談したのが、一緒に食事をするということだった。試しに一度でもいいからとの提案が、我ながら実にいい結果となった。  最初からそこにいた感じとでも言おうか、ずっと家族でいるような感覚にさせられた。違和感を全然抱かなかったのである。それからは親同士が話し合いをし、夕飯を共に食べることとなった。     
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