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「隣の三宅です。えっと、菜々子ちゃんを迎えに来ました」
幼さを感じる話し方に、母は弾むような声で返事をし、ランドセルを片手に私を玄関まで連れ出した。諸悪の根源には会いたくないのに。しかし私の気持ちなどおかまいなしに、二度目の対面を強いられる。
「いってらっしゃい」と明るく送り出す母とは裏腹に、私は不機嫌な顔をして歩き出した。そんな私に真己は躊躇いがちに声をかける。
「昨日、ごめんな。本当はあんなこと思ってないから」
謝ってくるなど予想もしていなかった私は、一瞬驚いたものの、口ではもう気にしていないと答えていた。もしかしたら、そんなに悪い奴じゃないかも。
真己は私の許しが得られるやいなや、ぱっと笑顔を咲かせた。
「何かわからないことがあったら俺に聞けよ。力になるから」
本当に悪い人じゃないかも。
我ながら単純である。
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