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私は事情を説明し、家に帰らない理由を伝えた。真己は暗くて見えないだろうにと半ば呆れていたが、私に付き合って四つ葉のクローバー探しをしている。
三日間も探し続けた私が見つけられないのだから、真己に見つけられるわけがないと、たかをくくっていたのがまずかった。私は重要なことを真己に伝えるのを忘れていた。
「四つ葉のクローバーは自分が見つけなければならない」そんな決まり事があったのだ。
私の苦労は、真己の喜びの声で無残にも泡となってしまった。
「どうして真己が先に見つけちゃうのよ!真己のバカ!こんなのいらない!」
悔しさから私は真己に八つ当たりを始める。これには真己もむっとした様子を見せるが、特に怒鳴ったりはせず理由を聞いてきた。
「これはね、自分で見つけなきゃ駄目なの!それは真己が見つけたんだから、真己のものなの。私は自分で見つけるからいい」
そして再びしゃがみ込む私。真己は一つ息を吐いて私の手をとった。
「遅いから今日は帰ろう。おじさんもおばさんも心配してるよ」
「真己のせいなんだからぁ。もうちょっとで見つかってたのにー」
「悪かったよ、ごめんな」
「もー、バカバカ。謝ってすむ問題じゃない」
「はいはい」
引っ込みがつかなくなっている私に気付いているのか、真己は私の八つ当たりも軽く流し、他愛ない会話へと変えてくれる。いつもそうだった。
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