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【デート】
僕らは座ったまま眠ってしまいカーテンの日差しで目が覚めた。
白石さんは時計を見てしばらく考えたような顔をしてこういった。
「天野君。デートしよう」
「デート?」
「泣きすぎたこんな顔で講義受けるなんて嫌。ほら、立って!支度支度ー」
言われるがまま支度をした僕はなかなか部屋から出てこない白石さんが気になった。
もしかして倒れてるんじゃ…。ドアをノックしようとしたときドアは開いた。
「久しぶりだから気合入れちゃったよ。どうこれ?」
くるりと回って見せた白石さんの服は清楚なワンピースにいつもは真っ直ぐな髪は巻かれていた。
香りは人工的…つまり香水と、自身のものが優しく混ざりこれなら僕も長時間外に出ても頭が割れることにはならないだろう。
「すごく、綺麗だ」
「ねえ司君て呼んでいい?私のことも佳代でいいから」
「佳代、て呼んだら喜んでくれる?」
「もっちろん!」
「じゃあ行こう、佳代」
そっと伸ばした手を佳代は優しく受け取り繋いでくれた。
昨日あれだけ悲しみにいた佳代は今日僕と出掛けることで笑顔になれるのなら、僕は喜んで名を呼び笑顔で心を満たせてあげたい。
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