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【雨の出会い】
「痛っ…」
下界は歩くだけで怪我をする。
人間の眼に見えないだけで棘のような鋭い感情が落ちているから。
そしてこの酷い臭い。この臭いも人間の恨み、妬み、嫉妬、様々な醜き感情たちだ。
ああ、頭が痛い。こんな臭いに充満された場ではあと5分ともたない。
…もっとも僕がまたあの場所-天界-に戻れるかなんてわからない。
だからあと5分でこの身が朽ち果ててもそういう運命として受け入れるしかないな。
「あ、これは…雨?」
真っ暗な空から水が落ちてくる。
人間は雨から身を守るため傘という道具を使う。僕はそんな道具は持ってない。
ずるずるとしゃがみこみ雨に濡れてやる。
この雨で臭いが減るかなんて期待したけど、そんなこと全くない。
臭いは変わらず酷い臭いのまま。
僕が追放されたのは罪を犯したからだ。
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