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彼女たちを背に再び歩き出し、少し離れてから妻が口を開く。
「あの子達、お礼はちゃんと言ったけど、誰も父ちゃんに向かって言ってなかったね。
謙斗に向かってばっかりで、・・・なんか、ムカツク。」
さっきの優しそうな妻はどこへ行ってしまったのか。
「父ちゃんにお礼を言っていたのは、あやさんだけじゃない!誰が助けたと思っているの?失礼だよね!」
妻の不満は止まらない。
「でも、父ちゃんも溺れたし・・・・・・。」
幸太が鋭く突っ込む。
「父ちゃんがあやさんを助けたことに変わりないでしょ?!」
妻が言い返す。
「どうでもいいよ、そんなこと。とりあえず助かったんだから。お盆の海は危ねーってよく、じいちゃんが言ってたからな。お前らも気をつけろよ。」
溺れた私が言っても説得力に欠けるが。
「でも、釣りに来てるし。」
「殺生してるし。」
幸太の突っ込みに謙斗が続く。
「今年だけな。いいだろ?沢山釣れたから?」
「父ちゃんは釣れてないけどね。」
いちいち鋭い幸太の突っ込みが心地いい。
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