14.感謝

2/15
前へ
/283ページ
次へ
「ああ、よろしく。」 何か変な疑問が残ったが私は調理を頼んだ。 子供の頃からキスを釣ってきてはおふくろが天麩羅にしてくれたものだ。 私はそれが大好きだった。 一通り道具を洗って家に入った。 子供たちは今度はテレビでプロ野球を観ている。 妻はおふくろと一緒に台所に立っている。 「そう、そこを(つか)んで包丁を入れて・・・・・・」 妻が戸惑いながら不慣れな手つきでキスのさばき方から指南されている。 これで、これから子供たちがキスを釣ってきても妻が調理してくれるだろう。 少し微笑ましい光景を目にしながら、私は台所に入り冷蔵庫を開け缶ビールを手にとった。 棚からグラスを1つだけ取り、客間に向かった。
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加