14.感謝

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「なぁ、もう暑くないだろ?それやめたら?」 いつまでも、うちわを仰ぎ続ける親父に言う。 相変わらず、聞こえているのか、いないのか、 親父はゆっくりとうちわを動かす。 「まぁ、いいけど。」 グラスに口を当てながら暫く一緒に外を眺める。 「あっちの、部屋にはいかないの?あっちの方がおふくろいるだろ?」 親父は黙ったままだ。 「ったく、素直じゃないね。心配してんだろ?」 「・・・どういう心境かは、俺も来年わかるんかな?」 私はビールの入ったグラスを見つめながら話を続けた。
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