1.プロローグ

4/11
前へ
/283ページ
次へ
やがて、水たまりの深さが太ももまで来ていた。 歩くのもたまに流れに足をとられる。 “流れ?水たまりに?” どうやら水たまりと思っていたこの水は・・・・・・ 私は川の中を歩いていた。 緩やかではあるが確かに水の流れを足に感じる。 進行方向の右側からやや強い流れを感じる。 どうやら右側が川上なのだろう・・・・・・がどうでもよかった。 上空に飛び交う蛍の光は、流れで揺れる水面を照らす。 私は泳ぎは得意ではない、いやむしろ泳げないと言っていいほど。 しかし、私はそんなことは全く気にせず深くなる川の中を進んだ。 もう少しで、自分が目指している場所に行けそうな気がした。 そこが何処なのか、 何を目指しているのかなど全くわかっていないのに・・・・・・ 気持ち、川の深度もさっきより浅くなってきているようだ。 ”川を渡りきれる。” 一時は胸まであった水は今では膝まで浅くなっていた。 対岸が見えるわけではないがそんな気がした。 そろそろ水から抜けられると思っていたその時、
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加