特になし

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 新しく社会人になってまだ1年弱の僕は思う。週7日の内5日間において満員電車に苦しめられながら出勤し、8時間超の労働を行い、また満員電車で帰宅し、1日が終わる。こんな苦行を超えた報酬が、「生活と週2日間の休息」のみだなんて。  7日の内、5日をマイナスな気持ちで過ごすしかないなんてこの世は絶対に間違っている。5日のプラスの為に2日を犠牲にするならまだわかる、しかし逆はどう考えてもおかしい。  簡単な反論。「仕事はプラスだろ?」と。成長?周囲に貢献?自己実現?そういうなにか漠然としたものを得るゲームなんだから、楽しんでやればいいじゃないか、と意識の高い僕が言う。でも僕はそれに対するさらなる反論をあらかじめ準備している。  「タイミングによっては、実際に僕は仕事をそういうゲームとして捉えられているし、楽しむ事だってできているように感じる。しかし、7日の内5日間それを強制されるという事は、そう楽しめないタイミングについても仕事を強制的にやらされるという事だ。他の、ゲームや読書や、その他もろもろの何かをしていた方が明らかに効用が高い時にすら、仕事をしなくちゃいけないじゃないか。」  少し議論が進む。つまり、マイナスな気持ちで過ごすのはまるまる5日間なわけではなく、「平日、かつ仕事を楽しめないタイミング」というわけだ。  「それなら職を変えればいい。週4日、7時間。そういう条件の仕事もあるだろう。」  「でも僕はある程度給料は欲しい、彼女に安心してもらえるくらいの安定も欲しい、頭の使う仕事がいい。」  「じゃあ、今の仕事はお前の選択の結果なわけだ。文句言うな。」  「ふざけるな。最良の選択肢であったからって、これ以上の改善を求めないのはおかしいだろう。」  みんなこんな葛藤を通り抜けて2年、3年、10年、20年、30年と過ごしているってわけか?信じられないよ、意味がわからないよ。
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