334人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
身内を亡くした……。
予想だにしない言葉に戸惑ったけれど。
……亡くなったのって、もしかしてお兄さん?
なぜかは読んだ瞬間に、ふとそう思ってしまった。
鈴木くんには、お兄さんと、あと確か、弟のことを彼が口にしたのも聞いたことがある。
たぶん3人兄弟だ。
弟のことは殆どわからないけれど。
わたしは、6年前のあの時、彼がお兄さんの話を避けたことが、とても引っ掛かっていた。
そして、身内を亡くした、という言い方も、なんだか違和感を覚えたのだ。
わたしだったら、父が祖父が妹が、という言い方をする気がしたから。
でも、そんなことは勿論訊けないし、代わりに「そうだったんだ」と返事をした。
『死んだら本当に、二度と会えない。だから、おばあちゃんにはちゃんと、会えるうちに会った方がいいよ』
「うん、そうだね」
身内を亡くしたばかりなら辛いはずなのに、わたしに親身になってくれる気持ちが、とても嬉しかった。
「できるだけ会いに行くようにする」
わたしがそう返すと、親指をくいっと立てた猫のスタンプが送られてきた。
最初のコメントを投稿しよう!