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初めて連絡をもらったあの日以来、メッセージのやり取りは少しずつ頻度が増えていった。
そして2週間も経つ頃には、毎日するのがすっかり当たり前になった。
最初は勿論、互いの近況報告をし合ったけれど、今は他愛ない話ばかりしている。
今お昼ごはんとか、これからバイトとか、大学や友達の話とか。
話すのは現在のことばかりで、あの当時の、中学2年の頃の思い出を、2人で話して懐かしんだりはしない。
わたし達はあの時確かに同じクラスだったけれど、教室ではほぼ話さなかったから、共有した思い出は実はとても少ない。
かと言って、あの音楽室のピアノの前で一緒に過ごした時間について話すのは、なんとなく恥ずかしかったのだ。
『奈々ちゃんおはよ』
いつも朝の9時前くらいに、鈴木くんからメッセージが届く。
たまにわたしから送ることもあるけれど、だいたい鈴木くんが先に送ってくれる。
「おはよー」
『今日は学校?』
「うん。3限からだけど。鈴木くんは?」
『俺実はもう授業中。ちょー眠い』
鈴木くんも、わたしと同じく大学生だ。
「わたし授業中いっつも寝ちゃう」
『俺も気を抜くとだいたい落ちてるよ』
今日もいつも通り、他愛ないやり取りをする。
なんでもない会話、でも楽しくて仕方ない。
「あ、わたしそろそろシャワー浴びるね」
『了解。またあとでね』
「うん、寝落ちしないように頑張ってね」
今のわたし達のやり取りは、まるで気のおけない友達のようで、ともすれば恋人のようでもある。
わたし達の距離は、6年前よりもずっと近い。
もしあの頃、今くらい近い距離でいられたら、あの言葉の続きを聞けたのだろうか。
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