Chapter1 初恋の人

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「鈴木くん、ありがとね」 『いえいえ』 『てか、俺もちゃんと会いに行こうかな』 鈴木くんからそんなメッセージが届く。 「えっ誰に?」 『すごく会いたい人に』 「誰かに会いたいの?」 聞き返すと、すぐに返事が返ってきた。 『俺ね、奈々ちゃんに会いたい』 鈴木くんが、わたしに会いたいと言ってくれた。 胸がきゅうっと切なくなった。 昔の鈴木くんは、わたしにとって初恋の人。 忘れられなくて、ずっとずっと会いたかった。 今だって。 でも、それは恋心なのかどうかわからかった。 彼の思い出に、ずっとすがっているだけかもしれなかった。 そんな彼と、また連絡を取り始めて。 いつもメッセージ通知が届くたびに、胸が弾んだ。 開いてみて、それが他の人からだと少しガッカリして、鈴木くんからだと自然に頬が緩むのだ。 わたしは、あの頃に戻りたいんじゃない。 今の鈴木くんを知りたい。 今の鈴木くんに会いたい。 「うん。わたしも鈴木くんに会いたい」 今の姿も声も、何もわからないのに。 わたしはもう一度、あなたに恋をしている。 だから、あの言葉の続きを、今度こそちゃんと、聞かせてほしい。 ◆◆◆
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