Chapter1 初恋の人

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「あー、1学期終わったらだっけ、ってもうすぐじゃん」 1学期が終わったら? もう、あと2週間ちょっとしかない。 鈴木くんが、いなくなる?本当に? 「そうそう。俺がいなくなったらサッカー部弱くなると思うけど、まあ頑張れよ」 「いや、まじでエース抜けるの困るんだけど」 「来年、湊以外に誰が部長やるんだよー」 「あはは、頑張れー。てわけで、俺はこれから、弟を捕まえて、一緒に荷造りしなきゃだから、そろそろ帰るよ」 席を立つ音がした。 きっと鈴木くんだ、まずい。 このままここにいたら、鉢合わせてしまう。 「有希ちゃん、逃げよう」 「え、え?なんで逃げるの?てゆーか私の水着……」 「いいから早く!」 だっていろいろ、心の整理ができていない。 鈴木くんが、わたしを好きかもしれないことも。 鈴木くんが、もうすぐ転校してしまうことも。 どんな顔して会えばいいか、全然わからないの。 ◇◇◇
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