226人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
私たちの座席は一番後ろ
前後を分ける通路より後方席には私たちしかいない
平日の夜ということもあり、時間的にも人は疎ら
まるで、貸し切りみたい
映画は甘美なラブシーンに差し掛かる
……思っていたよりも結構濃厚なキスを繰り返す
スクリーンの中のふたりから、目が離せない
「ねぇ、小夜 」
突如、私の耳元に囁く久我さん
「何ですか? 」
「こうやって会うの……久しぶりだね」
「仕事、忙しかったですもんね。
……一ヶ月振りくらい、かな」
(ほんとは、一ヶ月と三日……だけど)
「……小夜、今日のスカート短すぎない? 」
「久我さんも、そう思います? 」
やっぱり、そう思われていたんだ……
囁かれた方の耳朶が、熱い。
無駄な抵抗とは知りつつも、スカートを引っ張り伸ばしてみたりする私
最初のコメントを投稿しよう!