第1戦 ぼくとタオル

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ぼくの目の前にはまるで クラゲのように浮かぶ物体… ぼく はこの物体に 執念とも呼べる闘いを繰り広げていた… 「ひろ!風呂上がったぞー! お前も入れ!」 兄ちゃんがお風呂から上がりこの声とともに ぼく の闘いは始まる。 用意されたのはタオル。 タオルといっても目が細かい 風呂敷に近いようなものが好ましい。 湯船に浸かるとバトルスタート。 濡らしたこのタオルを 湯船に優しくのせる… そして下から手を入れてタオルの真ん中 を湯船の上に持ち上げる。 すると端から空気が入り ジュワジュワと音がなりながら タオルの中に空気を入れる事ができる。 そうしてタオルが膨らんだ状態になれば ミッションわんクリアだ。 だがツー はワンほど楽ではない。 お次は四つの角だ。 タオルの角を丁寧にしかし素早く 湯船の中で手に取り沈めていく。 そして空気の根元をキュッと 手で締めてくびれのようにする。 するとどうだ、まるでクラゲのような 状態になる、 しかし ぼく はそれをみて ため息と同時に湯船に沈めた。 ぶくぶくと泡がのぼる。 できたのはやはりいつも通り 自分の手のひらと同じくらいのサイズ。 これではダメだ、 まだ足りない。 もっと大きくできるはずだ。 この闘いを始めたのは3日前だ… 何回作っても大きいものができない… いや、そもそもタオルに 入る空気の量が少なすぎるのだ。 「いつまで入ってるのー ご飯できたわよー!」 ちっ、今はそれどころじゃないんだ。 敵(たおる)はまだ倒せて居ないのに!! そんな事を思いながらも 今日はカレーだと聞いて居たので 母親の為に仕方なくあがった。 晩御飯のカレーを噛み締めながら 僕は誓った。 (明日こそはお前(タオル)を倒してやる!!)
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