第2戦 ぼくとしゃぼん玉

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「あれ?なんで兄ちゃんがいるの?」 ぼくがお風呂場に着替えを用意して 行くと兄ちゃんが服を脱いでいた。 「最近おまえの風呂が長すぎて 母さんに見張り頼まれた。」 服を脱ぎながら当然のように言って のけたその言葉に ぼくはひざから崩れ落ちそうだった。 なんてことだ… ぼくの…ぼくのしゃぼん玉は… ぼくの闘いは…今日で終わりなのか… 「早く風呂入るぞ。 今日の晩飯は唐揚げらしいからな。」 ぼくは動くことができなかった。 きっと兄ちゃんはしゃぼん玉なんて 作らせてくれない。 見張りなんてなおさらだ。 しぶしぶと服を脱いで がっくりとしながら風呂に入った。 頭をシャカシャカ洗っている兄ちゃんを 恨めしく思った。 こんなに兄ちゃんが嫌いになった日は 初めてだった。 ふてくされてお湯の中に顔を半分まで 沈めてぶくぶくしていると 「なんだ? なんか不満なのか?」 そう兄ちゃんが聞いてきた。 そうです兄ちゃんが邪魔です。 そんなことを言えば殴られるのは 確実だ。 「べつに…」 口を尖らせて答えた。 ぼくの不満に気づけ。 「…エリカ様…」 「?」 兄ちゃんがわけのわからないことを つぶやいた。 兄ちゃんがなんでもないと言いながら ぼくが先に入っている湯船に入ってくる。 それよりもぼくは不満でいっぱいだ。 それに気がついている兄ちゃんが しつこく聞いてきたので ぼくは正直に答えるしかなかった。 最近しゃぼん玉を作ることが ブームなのだと。 大きいのが作れて楽しいのだと。 一つ見本で作って見せた。 それを見た兄ちゃんは何を思ったのか あごに手を付けて少し考えていた。 そして、 「…なあ、まだ大きくしたいか?」 と聞いてきた。 それはもちろんなので 首を縦にブンブン振った。 けれど手で作るにはサイズに 限界があることも言った。 「よし、分かった。 明日もまた風呂、一緒に入るぞ。」 ぼくは頭を殴られた気分だった。 兄ちゃんはまだ ぼく の邪魔を しようというのか… そのまま身体を洗って2人で 上がってからあげを食べた。 それでもぼくの心は沈んでいた。 ぼくの毎日の楽しみはしゃぼん玉のように 消えてしまった
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